戦前から戦後にかけ、サイレント（日本では活弁あり）からトーキーまで活躍した名俳優・阪東妻三郎。『阪妻』の愛称で愛された阪東妻三郎の戦中から戦後のモノクロ時代劇映画全９巻をＤＶＤ化。阪妻と云えばチャンバラ映画の代名詞だが、戦後まもなくはＧＨＱの影響もあり、『狐の呉れた赤ん坊』のようなチャンバラがない世話物時代劇映画も数多く制作された。田村高廣、田村正和、田村亮の実父としても知られる名優・阪東妻三郎の伝説の名作をぜひお楽しみください。
各巻 2,500円（税別）
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伊賀の水月〜剣雲三十六騎〜
荒木又右衛門の活躍で有名な鍵屋の辻の仇討ちを坂東妻三郎主演で映画化。
寛永年間、備前岡山で老藩士・渡辺靭負は、銘刀国宗を騙し取ろうとした河合又五郎に斬られ、非業の死を遂げつ。靭負の義理の息子で、藩の剣術指南役だった荒木又右衛門は、靭負の子、義弟でもある渡辺数馬に助太刀すべく、愛妻を残して江戸へ向かい、柳生流の剣の極意を数馬に叩き込むのだが・・・。映像特典として予告編も収録。（1942年／83分）
【監督】池田富保
【CAST】阪東妻三郎、羅門光三郎、高山広子、香住佐代子、沢村国太郎
富士に立つ影
吉川英治の『宮本武蔵』、中里介山の『大菩薩峠』と人気を三分した白井喬二の長編時代小説から、物語の発端である裾野編の一部を映画化。
文化二年、幕府より富士の裾野に調練城の築城を命じられた沼津領主・水野出羽守は、築城家として名高い賛四流・喜運川兵部と赤針流・熊木伯典に築城論議をさせ、その問答に勝つ者を築城軍師に任命すべく招請する。しかし、喜運川兵部は病床にあり、高弟・佐藤菊太郎が名代を務めることとなった・・・。そして。（1942年／82分）
【監督】池田富保、白井戦太郎
【CAST】阪東妻三郎、尾上菊太郎、沢村国太郎、橘公子、永田靖
剣風練兵館
菊池寛と本山荻舟の原作を映画化。若き日の木戸孝允、桂小五郎の江戸での修行時代を描いている。
時は幕末。長州藩士・桂小五郎は、血気盛んな同志たちとともに江戸に上り、剣術道場『錬兵館』に入塾する。錬兵館は当時、江戸随一の道場で、神道無念流を掲げ、三千の門下生を率いる剣豪・斎藤弥九郎の道場だった。古参の塾生たちの反感を受けつつも、稽古に精進し、勉学を重ねた小五郎が次第に頭角を現す姿を描く。（1944年／87分）
【監督】牛原虚彦
【CAST】阪東妻三郎、荒木忍、津島慶一郎、羅門光三郎、月形龍之介
狐の呉れた赤ん坊
阪妻の戦後初主演映画。GHQの指導により人情時代劇に仕上がっている。チャップリン張りの小気味の良い喜劇エッセンスも盛り込んだ意欲作。
大井川金谷の宿に住む川越人足・寅八。酒が大好き、喧嘩はもっと好きという乱暴者だったが、ある夜、街道筋に悪狐が出没するという噂を聞く。退治に出かけた寅八は、そこで捨て子の赤ん坊を拾ってしまい、育てる羽目に。それから七年、実の父子のように暮らす二人の元に、子供の素性は知らせる報が。その子はある大名の隠し子で・・・。（1945年／85分）
【監督】丸根賛太郎
【CAST】阪東妻三郎、橘公子、羅門光三郎、阿部九洲男、津川雅彦
東海水滸伝・東海二十八人衆
清水次郎長伝の有名な一節、石松金毘羅代参から石松の死、都鳥一家への仇討ちまでを映画化した作品。
時は幕末。清水次郎長は、子分の東海二十八人衆から、森の石松を選び、讃岐の金毘羅様に刀奉納の使いにだすことに。代参のすむまでは酒は飲まないと誓わせ、道中差に封印をして送り出す。石松もまた道中かたく謹み、つつがなく代参を果たすが、その帰路、旧知の都鳥の吉兵衛に出会ったことで、運命が大きく変わってしまう・・・
。（1945年／83分）
【監督】伊藤大輔、稲垣浩
【CAST】阪東妻三郎、片岡千恵蔵、市川右太衛門、市川春代、花柳小菊
国定忠治
「赤城の山も今宵限り」の名台詞で知られる『上州・国定忠治』の物語を阪妻主演で映画化。
天保八年、凶作に苦しむ農民たちを救おうと江戸へ上がった忠治。なんとか繭買上げ助成金下附の運動に成功し、祝宴を開くが、席上、忠治を慕う芸者・お町は代官・松井軍兵衛に言い寄られる。その後、代官と問屋は悪巧みを巡らし、助成金を全て巻き上げてしまい、忠治の子分・浅太郎を殺害。さらに忠治も捕縛され、お町も代官の罠に・・・。（1946年／72分）
【監督】松田定次
【CAST】阪東妻三郎、羅門光三郎、飯塚敏子、尾上菊太郎、原聖四郎
月の出の決闘
『狐の呉れた赤ん坊』と並び賞される戦後時代劇の傑作。世話物時代劇に定評がある丸根監督が殺陣にも挑戦している。
やくざの用心棒を勤める天童小弥太は、白の着流しに黒い帯、一升徳利を片手に提げる凄腕だ。「丁が出たら人を斬り、半が出たら地獄いき」と、賭場をめぐる抗争でも大活躍する。そんな小弥太が敵視するのが大原幽学。私塾を開き、農民たちを教育。賭場を撲滅させようとする学者だった。幽学を斬ろうと思い定めた小弥太だったが・・・。（1947年／78分）
【監督】丸根賛太郎
【CAST】阪東妻三郎、青山杉作、東野英治郎、羅門光三郎、花井蘭子
素浪人罷通る
幼くして父母と別れた山伏・宝沢は、実父が現将軍・徳川吉宗であると聞かされ、形見の短刀と墨附を証拠に、天一坊と名を変え、親子対面を願い出る。権力への野望もなく、一目父に会いたい純真な願いだったが、人々の思惑が天一坊を大逆の人へと追い落としていく。天下泰平のため幕府の権威を守ろうとする老中・松平伊豆守は、ご落胤の真偽に関わらず、天一坊を罪人として捕えることを決意。最初は天一坊を諌めていた元九條関白家浪人・山内伊賀亮だったが、天一坊を守ろうと立ち上がるのだが・・・。（1947年／81分）
【監督】伊藤大輔
【CAST】阪東妻三郎、守田勘弥、大友柳太朗、片山明彦、喜多川千鶴
木曽の天狗
イカサマ博打の道具を売って歩く旅烏の権兵衛。商売道具を奪おうとした土地の顔役を殴りつけ、追われるところを、百姓の茂左衛門とその妻に匿われる。夫婦の情に打たれた権兵衛は、やくざな生活から足を洗おうと決意し、逃亡の日々を暮らす。逃亡の旅の途中、権兵衛は馬を売りに来た百姓の甚兵衛とその娘おとよ、さらにおとよの恋人の與三松と出会う。甚兵衛の馬は大金で売れるが、町のヤクザに金を奪い取られた挙句、おとよも囚われの身に・・・。そんなとき與三松の素性がわかり・・・。（1948年／82分）
【監督】松田定次
【CAST】阪東妻三郎、花柳小菊、坂東好太郎、喜多川千鶴、尾上菊太郎
