名匠 黒澤明の代表作。
志村喬演じる主人公が自らの死期を悟り、
改めて自分の人生を歩みなおした姿を描く。
公務員や官僚への痛烈な皮肉を隠しつつ、
「生きる」「生きている」とはどういうことか、
黒澤明の強いメッセージを感じる希代のヒューマンドラマ。
脚本が秀逸で、途中で主人公の葬式シーンに場面転換するが、
これが主人公の生きた姿を称え、憧れつつも、
そうできないでいる同僚たちの人間の人間らしさを際立てせている。
また、絶望した主人公が口ずさむ「ゴンドラの唄」も生きている。
あの歌を歌うシーンは、多くの台詞よりはるかに彼の気持ちを感じるシーンだと思う。
1953年度 第4回ベルリン国際映画祭において、
ベルリン市政府特別賞を受賞した名作をお楽しみください。
1952年度発表・白黒・143分
特典映像付