内気で生真面目、極度のあがり症の青年・健太郎(星野源)が、眼が不自由な女性・奈穂子(夏帆)とお見合いをし、惹かれ合う。娘のために経済力がある男らしい相手を探していた奈穂子の父(大杉漣)は頼りない健太郎に大不満で、お見合いの席で健太郎を罵り、交際を許そうとしない。しかし健太郎と奈穂子は互いに不器用ながらも、いたわりあい、交際を深めていく。奈穂子の母・玲子(黒木瞳)や、健太郎の両親(平泉成・森山良子)は、そんな二人を温かい目で見守るのだが・・・。
あるとき、奈穂子を守ろうとした健太郎が交通事故で大怪我を負ってしまい・・・。
少しブラックなラブコメの衣を着た・・・ちょっとマジなドラマ。
基本、不器用すぎる健太郎×けっして世慣れていない奈穂子、慎ましい生活を送る老夫婦×仕事一筋で娘思いだが思い込みが強い父親と従順な妻、という対照的な二組の存在が巻き起こすコメディ作品だが、さりげなく織り込まれる台詞がけっこう胸に残る。物語の前半、二人が出会う初めてのお見合い。健太郎が奈穂子の父へ語るシーン。
「お嬢さんに同情してほしいということでしょうか?
僕には障害はありませんが、欠点なら山ほどあります。(中略)見た目や着ている服や就職先なんかで人は値踏みされてしまいます。そういうランク付けをするのは目が見えている人だけです。ただ・・・お嬢さんはそんなことはしません。」
星野源も、夏帆も、間を、言葉のない空白の時間に「思い」を含ませることができる役者さんなのだろう。
まるでありえないバカのようなストーリーの中に、人の『ほんとう』を詰め込んだ作品です。全187分収録。
監督は市井昌秀。日本映画監督協会新人賞受賞作品。全187分収録。