お経・御詠歌など仏教CD＆DVD | 京都 市原栄光堂

印象的な女性が登場する人形浄瑠璃＝文楽の傑作２作を収録。『加賀見山旧錦絵』では三人の女性の争いが印象深い。権力者の岩藤、台頭する尾上、その尾上に献身的に仕える お初。異なる魅力を持った三人の女性の争いを、竹本越路太夫が名手・竹澤弥七の三味線に乗せて語ります。さらに、蜷川幸雄の『身毒丸』に繋がる『摂州合邦辻』はやはり悪妻・玉手御前の魅力が映える。 常軌を逸し、暴走する不義の恋。毒を盛っても手に入れようとする執念。恐怖さえ感じる玉手の行動に潜む純真すぎる思い・・・。
　現代の条理では理解しきれない女性たちの心情に、思わず瞠目する２作品をぜひお楽しみください。全160分収録。
封入解説書つき ／ 日本語字幕つき（詞章のみ）

• 【太夫と三味線】竹本越路太夫×竹澤弥七（加賀乾山旧錦絵）、竹本津大夫×六代・鶴澤寛治（摂州合邦辻）
• 【人形遣い】初代・吉田玉男、二代・桐竹勘十郎、吉田玉五郎ほか

加賀見山旧錦絵・足利家長局の段〜奥庭の段

　もとは加賀騒動に松平周防守邸草履打ち事件を組み合わせ創作されたが、後者のみが今に残る。時代劇『大奥』の原型のような作品。
　御館の大姫に仕える数多の御殿女中たち。古株の岩藤の局にとって、大姫に重用される若く誠実な中老・尾上が鼻につく。そこで奸計を以て尾上に蘭奢待盗難の罪を着せ、 草履にて尾上を打擲する。無実の罪と恥辱の中、御殿を下がる尾上。尾上の召使・お初は尾上の様子を心配するが、用を頼まれ、仕方なく使いに出る。されどやはり気が咎める。 どうしても気になり、立ち戻るとすでに尾上は懐剣にて自死を遂げていた。お初は、一連の事件の黒幕が岩藤である証拠を握りしめると、尾上の無念をかみしめ、岩藤の元へと乗り込むのだった・・・。

摂州合邦辻・合邦住家の段

　義理の母・玉手御前に不義の恋心を抱れた俊徳丸は、許嫁の浅香姫と共に、玉手の父ながら剛直の士・合邦道心の元に匿われる。しかし玉手は遂に俊徳丸の行き先を尋ねあて、父・合邦道心の庵に 訪ねてくる。「原因不明の業病に冒され、容貌は一変。盲目となった自分になぜつきまとうのか」。俊徳丸の言葉に、その業病の原因は自分が持った毒のせいだと語る玉手。俊徳丸をなおも口説き、 浅香姫への嫉妬で乱行の限りを尽くす娘に、思い余った合邦道心は思わず刀を突き立てる。ところが・・・！
　苦しい息の下から玉手が語る事の顛末。俊徳丸と妾腹の兄・次郎丸の家督争い。継母の一途な真心が語られるとき、俊徳丸の両眼に光がよみがえるのだった。