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三島由紀夫『春の雪』:竹内結子,妻夫木聡,高岡蒼佑ほか(DVD)

どうしようもなく美しい映画だ。映像、音楽、演技、すべてが悲恋の物語を美しく編み上げている。
 原作は三島由紀夫、最後の作品『豊饒の海』の第一巻『春の雪』。名匠・行定勲がメガホンを取り、妻夫木聡、竹内結子で映画化した。『豊饒の海』は仏教思想を背景に、輪廻転生をテーマにした作品だが、 今作は『春の雪』だけで完結するため、輪廻転生のモチーフを随所に遺しつつ、若い二人の悲恋物語を美しく描いている。
 早くから自分の清顕への気持ちに気づき、何度傷つけられても、穏やかだが一途に愛を貫こうとする聡子。2歳年下の清顕は彼女の想いに気づきながらも、子供っぽい意地から拒絶を繰り返した挙句、もはやどうしようもない事態になってはじめて、彼女への深い愛に気づく。馬鹿のような話だが、経験のある人も少なくないだろう。手の中に宝物があるとき、その宝物に気づかないのも人間なのだ。
 この映画はあらすじの映画ではない。映画を見て初めて「あぁ・・・」と納得する。そんな映画だ。


三島由紀夫『春の雪』 あらすじ


 「もしも私が突然いなくなったらどうなさる?」
 松枝侯爵家の一人息子・清顕(妻夫木聡)は幼い頃、綾倉伯爵家に預けられ、綾倉の一人娘・聡子(竹内結子)とは姉弟のように暮らしていた。年頃になり、二人は両想いになるが、互いに言い出せない日々。 特に清顕は、晩餐会で出会ったタイの王子や親友の本多(高岡蒼佑)から、秘めた想いを指摘されるが却って意固地になってしまう。
 そんなある日、聡子は洞院宮治典王(及川光博)に求婚される。清顕への想いを抱えつつ、数ある縁談の誘いを断り続けていた聡子だが、今度は簡単に断れるものではない。何度も手紙を出し、 清顕の気持ちを確かめようとするのだが、清顕は子供っぽい意地を張り、そっけない態度を取り続ける。失望した聡子は仕方なく親王の求婚を受入れる決意をするのだが、皮肉にも聡子の結婚に勅命が下りた後になって、 清顕は自らの聡子への深い愛に気づいてしまう。
 あきらめきれない清顕は聡子の愛を取り戻そうとひたすら願い、遂には聡子の侍女・蓼科(大楠道代)を脅迫。聡子との密会を果たすのだが、このことが本当の悲劇の始まりとなっていく・・・。


商品コード : IS81212N10780
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