伝説の女博徒映画、江波杏子主演『女賭博師』シリーズ後半をご紹介。
江波杏子の圧倒的な存在感と物語全体に漂う殺伐とした空気感が印象深い。当時は、本当の賭場の風情やしきたりを知っている人も多く、所作や雰囲気も趣きがある。博打も丁半博打だけでなく、手本引き、チンチロリン、花札あそび、など幅広い。
古い映画なので画質や音声状態などに保存の不備もあるが、とにかく物語のプロット(あらすじ)が秀逸。通常、シリーズものはルーチン化しやすく、同じようなあらすじになりがちだ。しかし、この『女賭博師』シリーズでは、江波杏子以外のキャストはほぼ毎回異なっており、レパートリーに富んでいる。
日本映画界に大きな足跡を残した映画『女賭博師シリーズ』。ぜひお楽しみください。
各巻 2,500円(税別)
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女賭博師奥ノ院開帳
奇術団のスター・銀子は、妹のみどりに一座を継がそうと、賭博師に転身する。ところがその後、座長を何者かが殺害。みどりと介添役の三吉(田中邦衛)は、ストリップ小屋の余興で食いつなぐことに。しかし、小屋の経営者・唐沢は、みどりにストリッパーになるよう強制。さらに銀子と親しい岡野にも、シマを譲れと迫った。抵抗する岡野や銀子に、みどりを囮に、盆で決着をつけようと申し出る唐沢。受けて立つ銀子の前に現れたのは、実の父親・疾風の辰(伴淳三郎)だった。
女賭博師みだれ壷
開運出世を願う参詣者で賑わうだるま大師。その利権を争う賭博勝負が大晦日に開かれる。決勝で山川組の友造(長門勇)に敗れたお銀(江波杏子)は、1年間の修行の旅に出る。旅の途中、亥之助(川津祐介)から山川組の横暴を伝え聞いたお銀は益々修行に励む。勝負の夜が近づく中、切札・友造を探し出せない山川組はお銀を監禁。単身、救助に赴いた亥之助は、銀子を救い出したものの凶刃に倒れた。除夜の鐘待つ大晦日。復活した昇り龍・お銀が友造らの前に現れる・・・。
女賭博師さいころ化粧
緋桜のお秋との賭博勝負でイカサマが見つかり死を選んだ辰造。娘の銀子は、父を凌ぐ壺振りをめざし、素性を隠しお秋に弟子入りする。その頃、辰造の親分・三田村は新興ヤクザの風間(成田三樹夫)に賭博勝負を挑まれていた。頼みの綱の名胴師・政吉(露口茂)を風間に殺害された三田村は、お秋に胴師を依頼。盆勝負に挑むが、辰造のイカサマを見破った木壺の半次(大坂志郎)にイカサマを咎められ、死を選ぶ。すべては半次の仕掛けだった。父と師の仇を前に、銀子の妙技が炸裂する。
女賭博師十番勝負
不敗の賭博師・留蔵(大坂志郎)を破った兼松組の大滝銀子(江波杏子)。しかし、新興ヤクザ・中井組の嫌がらせは続き、兼松は闇討ちされ、銀子も深手を負う。盆の恨みは盆の上で・・・銀子を救った留蔵の息子・健一(峰岸徹)は、銀子の視力が回復するよう医者を紹介する。一方、中井組は銀子の家族をも襲った。実家・大滝海運は乗っ取りを仕掛けられ、兄の隆治は何者かに殺害される。視力を取戻し、単身中井組に乗り込んだ銀子を待っていたのは、健一とのサイカブ(チンチロリン)勝負だった。
女賭博師丁半旅
奈良井の虎三との賭博勝負翌朝、水死体となっていた辰吉。父の一番弟子・鉄五郎から自殺とは思えないと告げられた銀子(江波杏子)は、父の無念を晴らそうと、鉄五郎の指導で壺振り修業を始める。賭場から賭場への鉄火場修行。美貌と度胸で昇り竜のお銀の名は轟くが、虎三とその雇い主・横尾の罠にかかり、窮地に陥る。寸でのところを鉄五郎に救われるが、鉄五郎は利き腕を使えなくされてしまう。鉄五郎が出場するはずだった賭博勝負の名人戦。昇り竜のお銀の挑戦が始まろうとしていた。
女賭博師花の切り札
勝負の手本引きで銀子(江波杏子)が浅造(天知茂)に敗れ、三田村一家は家業を失う。師匠の政吉(船越英二)と修行の旅に出た銀子は、旅先で三田村の死と、家族の苦境を知る。三田村の供養盆の成功に執念を燃やす銀子だが、ある夜、花火玉の爆発から三田村の息子・勇を守ろうとし、鼓膜をやられてしまう。三田村の供養盆当日。兼松(成田三樹夫)の代人は浅造ではなく、イカサマ博打を生業とする夜泣きの半次(津川雅彦)だった。圧倒的不利の中、銀子の大博打が始まる。
女賭博師壷くらべ
陸中振りの名手・倉吉は、吹き寄せの清次(成田三樹夫)との勝負に挑むが、前川興業・前川毅(高橋昌也)の罠に嵌り、イカサマの汚名を被り殺される。娘の銀子も海に投げ込まれるがなんとか助かり、父の復讐を誓い、壺振り修業の旅に出る。一方、前川の悪辣さに嫌気がさし、一旦は袂を分かった清次だが、前川の西伊豆侵攻を手伝うため呼び戻される。銀子は松木の代打ち・竜神のお松に役を譲ってくれるよう頼み込む。清次の関東振りと銀子の陸中振り、息詰まる静寂の中、戦いが始まる。
新女賭博師 壷ぐれ肌
シマを賭けた南条組と黒門組の賭博勝負から、辰造が死体になって帰ってきた。イカサマを咎めた流れ者の政(本郷功次郎)に殺されたという。全霊を賭して育てた辰造を失い、失意で東京を離れる銀子(江波杏子)。数年後、帰ってきた銀子は、利権を奪われ風前の灯となった南条組を見る。子分を抑えるため、盆の上での勝負を黒門組に挑む銀子。勝負前夜、政は銀子を訪ね、辰造のイカサマが黒門組の罠だったことを告げる。翌朝、銀子たちのシマを賭けた戦いが始まろうとしていた。