お経・御詠歌など仏教CD＆DVD | 京都 市原栄光堂

五味川純平『人間の條件』を、俳優座の舞台俳優だった加藤剛を主役に抜擢してテレビドラマ化した作品。
後に大岡越前や石田三成、学究肌の大学教授など、真面目で一徹な役の第一人者となる加藤剛だが、その原点は本作の主人公、梶にあるのかもしれない。 梶の妻・美千子を演じた藤由紀子もこのドラマ出演のために女優生命をかけた交渉を行っている。『人間の條件』といえば仲代達也、新珠三千代の映画版が有名だが、 仲代達也の梶が、どこか人間離れした強い正義感と意志力を持っていたのに比べ、加藤剛の梶は人より少し正義感が強い男が必死に道を誤らないよう踏み止まっているイメージがある。 人間の弱さを感じる加藤剛の梶は、明日の私たちかも知れない・・・。
全26話・約1379分収録（モノクロ作品です）

人間の條件・加藤剛版　あらすじ

　昭和18年。戦争を嫌う梶は、親友・影山の勧めで招集免除を条件に鉱山管理の仕事に就くが、そこは戦場に勝るとも劣らぬ過酷な職場だった。一部上層部の不正や違法行為も横行しており、 過酷な労働環境の中、現地人や捕虜の中には不満を持つものは少なくなかった。梶は少しでも労働条件を改善しようと特殊工人と話し合いを重ね、生産量も２割増産させるが、好事魔多し。 脱走事件や、梶に協力的だった現地社員の自殺、労働者たちのストライキを引き起こす。憲兵隊に拘束され、斬首されるスト首謀者らを見かねた梶は遂に憲兵隊に逆らい、スト首謀者の処刑を中止させるが、 その後、憲兵隊のリンチを受け、現職免除の上、初年兵として満州北部に送られてしまう。
　梶が所属した関東軍では、古参兵による初年兵いじめが常態化していた。極寒の厳しさは兵たちの心を蝕む。捌け口のない死への恐怖と鬱憤は、弱い者へのいたぶりという形で現れていた。 そして、自らの心に巣食った残虐さや弱さを隠そうともしない人々にとって、梶たち人間らしくあろうとする人々は疎ましい存在だった。 厳しい行軍の中、二人の落後者が出たとき、その葛藤は兵の自殺や脱走へと繋がっていった。そして梶もまた・・・。