「日本映画の危機が叫ばれているが、
それを救うものは映画を創る人々の情熱と誠実以外にはない。
私は、この『赤ひげ』という作品の中にスタッフ全員の力をギリギリまで絞り出してもらう。
そして映画の可能性をギリギリまで追ってみる。」
名匠 黒澤明は、撮影を前に上記の如く宣言し、2年の歳月を掛けて撮影を行った。
その結果、原作『赤ひげ診療譚』の著者 山本周五郎をして
「原作以上!」と言わしめた黒澤ヒューマニズム映画の頂点を極めた作品。
貧しい町人のための医療施設 小石川療養所を舞台に、
加山雄三演じる若きエリート医の成長を描く。
三船敏郎演じる赤ひげの峻烈なまでの医へのこだわり。
人間の命の大切さ、気高さを言葉ではなく、動きで表現しきっている。
使命感という義務感ではなく、深い愛情に裏打ちされた強い精神力を
映画全体から感じさせられる。
海外でも高い評価を得、ヴェネチア国際映画祭サン・ジョルジュ賞や、
ヴェネチア国際映画祭最優秀男優賞(受賞者:三船敏郎)を受賞した。
1965年度発表・白黒・185分
特典映像付