実際にあった警官の拳銃紛失事件を元に菊島隆三が脚本を執筆した。
若く正義感に燃える新米刑事 村上に三船敏郎、
ベテランの刑事長 佐藤に志村喬、
戦後の混乱期に道を誤り、凶行に走る青年 遊佐に木村功が扮している。
戦後混乱期の東京の町並みを舞台に繰り広げられる正義と悪の闘争。
村上と遊佐が対峙するクライマックスでは、
バックに何も知らない裕福な主婦が弾く穏やかで平和なピアノの音色が響く。
狂気と平穏が一つカメラに納まり、それが狂気を、平穏を、さらにひきたたす。
黒澤明が得意とするコントラストな演出だ。
最後にマニアな見どころを一つ。
作中、犯人を追って後楽園球場に刑事二人が入る場面がある。
この場面には、実際の巨人対南海の試合映像が使われており、
川上哲治、青田昇、千葉茂ら当時の選手の姿を見ることができる。
よければ、ご確認ください。
1949年度発表・白黒・122分
特典映像付