伊集院静の短編小説朗読CD集。
その私生活から読まず嫌いの方も多い作家だが、「伊集院静という人間は好きになれないが、彼の小説は好きだ」という人も多い。登場する男たちは、シャイで、優しく、
心の傷にそっと蓋をしている人が多い。取り巻く女性たち、恋人とは限らない、母や娘、遠い昔の憧れの人たちも決して無傷で生きてきた人じゃない。後悔や思い出を抱え、それでも懸命に“今”に立っている人たちだ。
隠された心の傷を抉り出すことで一頭、上等な人間を気取る人もいるが、伊集院静はそういう人間が信じられないのだろう。
生きること、男であること、女であること・・・命を過ごすことに苦しさやためらいを覚えたあなたにおすすめしたい朗読CD集。
各巻 1,500円(税別)
下段の選択欄からお好きな作品をお選びください。
遅い春
火消しの名人と慕われる消防士の稲川は42歳を迎えた。稲川を想う倫子の気持ちは間違いなく伝わっているはずだが、稲川は最後の一線を越えようとしない。歯痒さと一抹の不安を抱えつつ、倫子は2泊の越前旅行を計画するのだが、稲川には隠された秘密があった・・・。
【朗読】堀英二 / 約55分収録
オルゴール
酒とギャンブルで不摂生な生活を続けてきた演出家の元に、喧嘩していた年の離れた彼女から涙声の電話がかかる。父が死んだ・・・葬儀のために帰郷する恋人に同道する演出家だったが、そこで女性が隠していた真実と出会うことになる・・・。
【朗読】谷口和花子 / 約57分収録
皐月
伊集院静のデビュー作。鉄工所を営む正作が50代後半で初めて授かった男の子、惇。ある日、正作は七夕の竹を取ろうと、惇を連れて山に入るが、ふとしたことで岩場で足を踏み外す。父を救おうと助けを呼びに走る惇だったが・・・。
【朗読】梶村蹊子 / 約72分収録
三年坂
母の七回忌で故郷を訪れた鮨職人の甚。彼の母は念願の店を出した日に交通事故で亡くなっていた。母との思い出を手繰りつつ、京都の三年坂へ向かった甚は、母のなじみの竹細工の店で思わぬ話を聞くのだった・・・。
【朗読】梶村蹊子 / 約66分収録
夏草
社会人野球部の監督・高野順三の元に、野球部廃部を伝えに来た専務の渡辺孝雄。同い年のライバルだった二人の野球少年は、今は亡き恩師・諸田の数々の教えを懐かしく思い起こす。諸田監督の命日、監督の娘と3人で盃を傾け思い出を語る大人の昔語り。
【朗読】吉浜直樹 / 約57分収録
春泥
ばね指を患った廣代は、病院で密かに思いを寄せていた吉井を見かける。偶然見かけた吉井は、中庭のベンチでパジャマ姿で腰かけていた。廣代は句会の席で自分を見つめる吉井の視線を感じていた。互いに踏み出せない老年の恋情が、あざやかに映し出される。
【朗読】梶けいこ / 約55分収録
雨あがり
20年後に価値がわかると云われる経師職人。そんな経師をめざす若者・廣作が、和平の元に弟子入りする。ハンデがあるため後ろ指をさされながら愚直に修行する若者を、辛抱強く指導し続ける和平。陰から見守るサチコ。鎌倉を舞台に、文章の美しさが際立つ一作。
【朗読】堀英二 / 約66分収録
この1,500円シリーズは現品限りとなります。完売後は3,000円(税別)バージョンとなります。1,500円バージョン品切れの際は発送前にお知らせします。その時点でご判断ください。