伊集院静の短編小説朗読CD集。
その私生活から読まず嫌いの方も多い作家だが、「伊集院静という人間は好きになれないが、彼の小説は好きだ」という人も多い。登場する男たちは、シャイで、優しく、
心の傷にそっと蓋をしている人が多い。取り巻く女性たち、恋人とは限らない、母や娘、遠い昔の憧れの人たちも決して無傷で生きてきた人じゃない。後悔や思い出を抱え、それでも懸命に“今”に立っている人たちだ。
隠された心の傷を抉り出すことで一頭、上等な人間を気取る人もいるが、伊集院静はそういう人間が信じられないのだろう。
生きること、男であること、女であること・・・命を過ごすことに苦しさやためらいを覚えたあなたにおすすめしたい朗読CD集。
各巻 1,700円(税別)
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受け月
直木賞受賞作。選手たちの造反が続き、引退を決意した社会人野球の老監督・谷川。「祈るな、頼るな」が彼の信条だった。送別会の帰路、願い事がこぼれないで叶うと云われる受け月を見上げ、彼は家族や野球のことを受け月に祈るのだった・・・。
【朗読】吉浜直樹 / 約47分収録
切子皿
正一は家出した父と20年ぶりに会うことになった。都市対抗野球のスター選手だった父を、大ファンだった母が追っかけて結婚したが、父は別の女性と家を出て行った。老いてもダンディズムを失わない父との再会に正一は不思議な心の変化を感じる。
【朗読】松谷有梨 / 約44分収録
どんまい
純也は病院で偶然、カオルに出会う。カオルは男顔負けに野球が上手な少女だった。難病で入院中の妹のために、カオルに帽子を貸してほしいと頼む純也。カオルは父の形見だからと断るが、数日後、病院に帽子を届けてくれる。純也はお礼を言いたくてカオルを追うのだが・・・。
【朗読】吉田みゆき / 約45分収録
にせアカシア
志津子の恋人、恒一郎はミュージシャンになる夢に破れ、悪い女に入れ上げた末、身を持ち崩して死んだ。恒一郎を支えようとした志津子は疲れ果て、アル中になり入院。そこで花盗人の仕事を知る。西麻布の老い先短いおじいさんに桜の花を届けることになるのだが・・・。
【朗読】神崎美和子 / 約77分収録
陽だまりの木
高比良は、今日定年を迎えた。妻は三年前に亡くなっていた。銀婚式の九州旅行、いつもは慎ましい妻がねだった石臼を見て、妻の後姿を思い出した。ふと、毎日通勤電車の車窓から眺めていた丘の上の大きな木に逢いに行こうと思い立った。探し回ってやっと見つけた木の幹を撫ぜながら、高比良は・・・。
【朗読】梶けいこ / 約78分収録
冬の鐘
鎌倉で小料理屋を営む佐山は、なじみ客で元高校野球のスターだった大矢と親しくなる。ともに大柄な二人を見て、佐山の妻・由紀子は「山が二つ歩いているみたい」と笑うが、二人は人に言えない悩みを共有していた・・・。
【朗読】小川道子 / 約70分収録
ぼくのボールが君に届けば
トオルはひょんなことから長期療養中の少年ソウとその姉と友人になります。いつか君の病院まで届くホームランを打つ。野球が下手なトオルの猛練習に、父や父の恋人のサチコさん、元野球部監督の善さんも巻き込まれていきます。そして・・・。
【朗読】山田聰子 / 約55分収録
この1,700円シリーズは現品限りとなります。完売後は3,000円(税別)バージョンとなります。1,700円バージョン品切れの際は発送前にお知らせします。その時点でご判断ください。