お経・御詠歌など仏教CD＆DVD | 京都 市原栄光堂

本作で朗読される、有島武郎の『生まれいずる悩み』は、画家をめざしながらも、生活の為にその夢を捨て、それでも夢を捨てきれず、生活と夢の狭間で悩み続ける青年を描いている。有島武郎の友人、木田金次郎がモチーフだといわれるが、一方で有島武郎自身の心奥が見え隠れする作品だ。裕福な家庭に育ち、エリート教育を受けた有島武郎が抱いた自己否定、なんとない未来への不安、エリートにありがちな権威や常識への服従心への嫌悪が、この作品の根底にある気がしてならない。
　朗読は女性朗読家・wis。全217分収録。

　手荒ながら不思議な迫力で迫ってくる画を持ってきた少年がいた。音信が途絶え10年ほどたったある日、魚臭い油紙に包まれたスケッチが届けられた。北海道の厳しい大自然を描いた画、それはあの少年だった青年が描いた絵だった。
　久しぶりに出会った彼は、あの少年時代の面影など微塵もない逞しい漁夫に成長していた。岩内の実家で漁師として、苦しい生活を支えていた彼は、それでも画家の道をあきらめきれず、途絶えることなく絵を描き続けていたのだった・・・。