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【完全朗読】 太宰治 『思い出』(CD2枚組)

太宰治の処女作品集『晩年』に掲載された本作『思い出』は、少年期の回想録として書かれた作品である。恵まれた環境で育った主人公と家族との関わり、とくに“がちゃ”と呼んだ叔母さんとの関係や父親の死、女中みよへの仄かな初恋の思い出などが、温かみとユーモアの混じる淡々とした語り口で綴られた作品である。太宰治は虚構の名人と呼ばれるほどプロットの巧みな作家だが、この『思い出』は、「自分を、いい子にしないように書いた」と前書きに記載があるように、脚色をできるだけ抑え、素直な表現と静かで粛々とした文体で綴られている。
 太宰治は3度にわたる自殺未遂と『人間失格』『斜陽』『歯車』のようなデカダンス調の作品の印象が強いせいか、暗く陰鬱な印象をうけがちだが、本来その心奥には陽気で人を笑わせたがるような心情が隠れていたのではないだろうか。しかし、人に嫌われたくないという気持ち、自分は恵まれて育ってきて苦労を知らないという劣等感が、太宰治の中に陽気になりきれない影を作り、素の自分でいることの恐怖を作ったのかもしれない。太宰治は一生、太宰治という道化を演じることに疲れたのかもしれない。
 夢を抱き、将来に不確かな灯りを感じていた太宰治の作品『思い出』を、梶けいこさんの朗読でお味わいください。全108分収録。


商品コード : IS81212N08645
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