お経・御詠歌など仏教CD＆DVD | 京都 市原栄光堂

「若き詩人中の巨星」と西條八十に激賞されながらも、周囲の環境から次第に追い込まれ、遂に自らの命を絶った薄幸の女性を描いた静かなる名画。
　現代社会はブームに弱い。今世の中は金子みすずブームが続いている。多くの人が金子みすずが遺した詩を味わい、その繊細な視点、女性らしい優しさ、生きることへの深い憧憬に共感している。けれど金子みすずが生きた昭和初期は、この映画で描かれるように、才能が美しく愛でられない時代だった。誰もみすずを不幸にしようとしたわけではない。しかしみすゞを死に追いやったのは間違いなく時代であり、環境だった。私たちは才能を才能として愛し、見守り続ける大きな勇気を持ちたい。そう思わせてくれる素敵な映画だ。
　金子みすゞ役は『あぐり』や『一弦の琴』の田中美里、みすずの夫役には寺島進、みすゞの実の弟で想い人でもある正祐に加瀬亮。その他、中村嘉津雄、イッセー尾形、永島瑛子らが出演。監督は、実在の人物描写に定評がある五十嵐匠。全105分収録。

金子みすずの生涯『みすゞ』　あらすじ概要

　クジラ漁が盛んな港町・下関に一人の女性がいた。金子テル。西條八十に見いだされ、金子みすゞのペンネームで活躍する童謡詩人だ。将来を嘱望される金子みすゞが心密かに慕う人物、それが従兄弟の正祐だった。しかし正祐は養子に出されたみすゞの実の弟であり、みすゞはその事を一人胸にしまい続けていた。
　二人の関係を案じた両親らは、みすずの気持ちも聞かず、別の男性と結婚させる。政略結婚であったが、最愛の娘も生まれ、すべてはうまくいきそうに思われた。しかし夫は仕事への不安から次第に放蕩に走り、さらにみすゞに淋病を移してしまう。悪化する病状と周囲の人々の蔭口に苦しむみすずに、追い討ちをかけるように夫は、詩作と投稿仲間との文通を禁止するのだった。
　そして、身体だけでなく、心をも衰弱させたみすずはまだ肌寒き春の夜、一つの決断を下すのだった・・・。

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