帰命無量寿如来から始まるお経・正信偈。浄土真宗門徒には欠かせぬ親鸞聖人の著書『教行信証行巻』末尾所収の偈文です。
七言六十行百二十句の漢詩形態の偈文には、真宗の要義大綱がまとめられています。
純真一途な念仏者であった親鸞聖人が、『正信偈』に込められた真宗のみ教え、ご聖人の願いを、藤田徹文師（録音当時：本願寺伝道院部長）にわかりやすくお話しいただきます。
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正信偈に聞こう
『正信偈』は、親鸞聖人の主著『顕浄土真実教行証文類・行巻』を締めくくる六十行百二十句からなる讃偈です。蓮如上人は和讃をつけて朝夕のお勤めとされました。『正信偈』に聞いてみましょう。
帰命し南無する
「帰命無量寿如来」は聖人の信仰告白であり生き方宣言です。「帰せよと命じてくださる無量寿如来、南無せよとよびかけてくださる不可思議光仏に帰順し、南無して生きる」と、自らの「いのち」の置場を明らかにされたのです。
法蔵菩薩の願い
「大れ真実の教を顕さば、即ち『大無量寿経』是れなり」。法蔵菩薩のご出家、本願建立があって、私たちの「いのち」の基盤が明らかになりました。法蔵菩薩の物語を通して如来のお心をしっかり味わわせていただきます。
すくいのひかり
阿弥陀如来の私たちをお救いくださるはたらき、無量光から超日月光まで十二のひかりを讃えられます。ご本願の中心であります十七願・十八願・十一願のお心を十二の光の話から学びます。
真実信心の利益
『正信偈』ではみ教えに遇うことによって与えられる現世の利益が明らかにされます。煩悩を断ぜずして涅槃をうる、摂取の心光つねに照護したまう、横に五悪趣を超截す。３つの利益をお話しいただきます。
有無の見を破す
阿弥陀如来のお心を明らかにされた七人の高僧。インドの龍樹菩薩は、有の見（虚無的な見解）の間違いを指摘し、「空」の真理をあきらかにし、阿弥陀如来の易行の道を私たちに薦められました。
本願力の廻向
『親鸞』の御名は、天親菩薩、曇鸞大師の一字ずつを戴かれたものです。天親菩薩は『浄土論』を著し、曇鸞大師は『浄土論註』（往生論註）を著され、他力の教えを明らかにしてくださいました。
光明名号のすくい
『安楽集』二巻を著した道綽禅師は浄土門に入るべきことをお奨めされ、善導大師は『観無量寿経』を深く学ばれ､「南無阿弥陀仏」の本当の意味とはたらきを明らかにしてくださりました。お二人に学びます。
ただ仏を称すべし
善導大師は『観無量寿経』の説話より、私たち凡夫のあり方を明らかにされました。源信和尚は日本浄土教の夜明けとも讃えられる『往生要集』三巻を著し、年老いた母の願いを大切に守り続けられました。二人の高僧に学びます。
選択本願の教え
「たとひ法然上人に賺されまいらせて、念仏して地獄に堕ちたりとも、さらに後悔すべからず候」。親鸞聖人の言葉です。念仏ひとつで救われていく道を説き明かされた本師源空＝法然上人に学びます。
