仏教の長い歴史は、修業の歴史であり、なにより生きることそのものの歴史でもありました。本作は、仏教の長い歴史の中で培われた健康法を、仏教的な宇宙観や死生観も交え、わかりやすく解説戴く講演CD全集です。お話は東京大学教授、国際仏教大学大学院理事などを歴任された鎌田茂雄先生(僧名:慧忍)。鎌田茂雄先生は合気道8段の腕前でもあり、実生活に基づいたお話となっています。
私たちの健康は、呼吸を整える調息、心を整える調心、身体を整える調身、により保たれています。気と呼吸法を中心に、食事、睡眠、体の整え方、心のもち方まで幅広いお話をお聴きいただくことで、ストレスと飽食の時代を生き抜くヒントになれば幸いです。お釈迦さまをはじめ、道元禅師、瑩山禅師、沢庵禅師、白隠禅師などが遺された事蹟・文献を読み解き、心と体の健康を大切にする、如いてはあなたの人生を大切にする生き方を共にお考え戴く講演です。ぜひお聴きください。
各巻 約55分収録 / 別冊解説書(52ページ)付
《講演・健康法》 仏教に学ぶ心の健康・身体の健康 収録内容
釈尊の健康法 (お釈迦様の呼吸法)
原始仏教の経典『雑阿含経』に説かれた五つの修行法(戒律を守る、欲望を抑え呼吸を正しくする、食を少なくする、睡眠を貪らない、静かな林の中での坐禅をする)を紹介し、『達摩多羅禅経』に記された出息(吐く息)の大切さや、『大安般守意経』に遺されるお釈迦さまの呼吸法などに学びます。
仏教の食事感 (道元禅師の典坐教訓)
、 現在の日本料理の基本ともいわれる懐石料理。その基を日本に持ち帰ったのは曹洞宗の宗祖・道元禅師だったといわれます。“食事は薬”の考えの元、インドの戒律書に見るお粥の十の効用、道元禅師が『典坐教訓』で説かれた食事を作る時の心得である三心(喜心・老心・大心)、『赴粥飯法』に著された食事の戴き方と心得、一粒の米の命の意味などをお話しいただきます。
天台小止観の教え (天台大師の調息法)
インド仏教と中国道教の健康法を元に著された名著『天台小止観』から坐禅(座禅)を考える。“止観”とは、心の煩悩を止め〈止〉、真理を観察する〈観〉の意味で、坐禅(座禅)がまさにこれにあたる。天台大師は、病の根本は煩悩にあり、煩悩を払う丹田呼吸法を実践することで、調身、調息、調心を得ることができると教えられています。
坐禅用心記 (瑩山禅師の呼吸法)
天台小止観思想を受け継ぎ、瑩山禅師が著された坐禅(座禅)心得、『坐禅用心記』。呼吸法や健康法、無常を観じて忘れてはいけない、美服・美食を慎むこと、呼吸は自然に任せ息が整ってきたら呼吸に任せて坐禅をする、など『坐禅用心記』に説かれた坐禅法とその意味をわかりやすく解説していただきます。
気と理の思想 (沢庵禅師の理気差別論)
江戸時代初期の名僧・沢庵禅師の著作『理気差別論』。“理”とは万物の根源である原理であり、“気”とはその理が森羅万象に働くエネルギーを示す。「病は気から」「丹田に力を入れろ」などよく言われますが、それはどういうことなのか。元気の源は臍下丹田にある、と言われる意味を沢庵和尚の『理気差別論』に求めます。
延命十句観音経 (白隠禅師の秘法)
江戸時代中期、厳しい修業の末に病を得た白隠禅師(臨済宗)が、白幽仙人に授かり、『夜船閑話』に著した『内観の秘法(寝坐禅)』。内観法は呼吸器病、神経症、不眠、さらに頭痛などのよく効くと云われます。さらに病を得たときの心構えや白隠禅師お奨めなされた『延命十句観音経』など、臨済宗中興の祖が遺した健康の知恵を共に学びます。
イメージ療法 (白隠禅師の内観法)
白隠禅師のもう一つの内観法が、軟酥の法というイメージ療法です。軟酥の丸薬を頭上に乗せたとイメージし、その清らかな液体が頭全体、肩、肘から五臓六腑を浸し、背骨、尾骨・・・さらに足から土踏まずへと、気を全身に巡らせる。そんな自己暗示により、潜在意識を変化させる精神療法を、詳しく、わかりやすくご紹介いただきます。
丹田呼吸の実践者たち (貝原益軒『養生訓』ほか)
貝原益軒や平田篤胤など丹田式呼吸法の実践者たちから学ぶ健康の秘訣。貝原益軒の著作『養生訓』を紐解き、百病は皆気より生ず、病は気が病むこと、養生とは気を養うこと、丹田は人間の生命の根源を学び、平田篤胤の著作『志都乃石室』より雑用や欲望によるストレスによる病の原因を考える。現代にも継承される調和道の呼吸法など、仏教式健康法を深く学んでいく。
【特典盤】 対談・癒しの医学 鎌田茂雄×帯津良一
本講演CD全集の講師・鎌田茂雄先生と、NHK『気功専科』の講師・帯津良一先生による、知的で興味深く楽しい対談。該博な知識と医学の実践現場を知る鎌田茂雄、帯津良一、両先生による対談CD。