日本古典文学の最高峰『源氏物語』。谷崎潤一郎や与謝野晶子、瀬戸内寂聴など錚々たる文筆家がこの現代語訳を綴っているが、本作は劇作家としても活躍した円地文子版を、朗読家としても評価が高い竹下景子が朗読しています。どの源氏物語・現代語訳が好きかは人により評価の別れるところですが、円地文子版は谷崎潤一郎、与謝野晶子に比べると現代風の文章や表現でわかりやすいと言われる一方、男女の愛憎のみ描くのではなく、平安時代の権力や価値観、死生観など文化的、哲学的背景も感じ取れる作品に仕上がっています。バランスのとれた作品といえるかもしれません。
1200年を超えても読み継がれる『源氏物語』の世界、ぜひあなたもお楽しみください。
各巻 CD3枚組 4,300円(税別)
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『若紫』『賢木/花散里』はCD2枚組、3,000円(税別)です。
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 桐壷 / 帚木
「いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり」の有名な一節から始まる源氏物語の発端『桐壺』と、光源氏と空蝉の出会いを描く『帚木(ははきぎ)』を収録。『帚木』の名は、本文中の和歌二首「帚木の心をしらでその原の道にあやなくまどひぬるかな」と「数ならぬ伏屋に生ふる名のうさにあるにもあらず消ゆる帚木」に所以する。
CD3枚組(税別4,300円)/ 全212分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 空蝉 / 夕顔
帚木三帖の内『空蝉』『夕顔』を収録。十代の光源氏と気持ちを通じあわせつつも去っていく人妻・空蝉の風情を描く『空蝉』。巻名は本文中の二首の和歌に由来するといわれる。『夕顔』では、常夏の女(互いに素性は明かさない)との出会いと別れが描かれる。本文中の和歌「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」が巻名の由来。後に夕顔の娘、玉鬘も源氏物語に登場する。
CD3枚組(税別4,300円)/ 全168分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 若紫
「手に摘みていつしかも見む紫のねにかよひける野辺の若草」の歌が有名な『若紫』を収録。光源氏終生の伴侶・若紫との出会いと初恋の人で義母でもある藤壺の懐妊がもたらす苦悩を描く『源氏物語』内でも有名な巻。正直、光源氏18歳(推定)が若紫10歳(推定)で引き取り、未来の妻として育てる、という設定は、現代的には受け入れ難いのだが、ここは当時の感性で味わっていただきたい。
CD2枚組※(税別3,000円)/ 全133分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 末摘花 / 紅葉賀
『若紫』のならびの巻『末摘花』では、『源氏物語』には珍しい不美人・亡き常陸宮の姫君が登場する。『紅葉賀』は義母・藤壺の出産と立后が描かれる。藤壺の子は実は光源氏との不義の子であり、この事実は藤壺と光源氏、そして読者しか知らない。藤壺の政敵・弘徽殿女御がさまざま画策する中、この世に生を授かる、赤子。喜ぶ桐壺帝の姿に光源氏と藤壺はそれぞれ胸を痛めるのだった。
CD3枚組(税別4,300円)/ 全166分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 花宴 / 葵
桜花の宴の後、素性も知らぬまま契りあった姫君・右大臣の六の君(朧月夜)と光源氏の邂逅を描く『花宴』と、光源氏の最初の妻・葵上の出産と死を描く『葵』を収録。『葵』は後に世阿弥の謡曲『葵上』の原作となった作品で、光源氏に愛されなかった妻・葵上が、些細なことで光源氏の恋人・六条御息女と諍いになり、その生霊に苦しめられる話。葵上は光源氏の子・夕霧を産み落とすと、亡くなることになる。
CD3枚組(税別4,300円)/ 全170分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 賢木 / 花散里
世阿弥の謡曲『野宮』の題材となった『賢木』と政争に疲れた光源氏のひと時の安らぎを描く『花散里』を収録。桐壺帝の死と朧月夜との関係発覚により、政治の実権は政敵・右大臣家に移り、光源氏の運命に暗雲が漂い始める。桐壺帝の妃であった麗景殿女御とその妹・三の君(花散里)を訪ねた光源氏は、しみじみと昔話を語り合い、束の間を安らぎを感じる。三の君は光源氏の恋人の一人だった・・・。
CD2枚組※(税別3,000円)/ 全153分収録
現代語訳・源氏物語(円地文子版) 須磨 / 明石
政争に敗れ、須磨に退去した光源氏。須磨の侘び住まいで寂しい日々を送りつつも旧友との再会に心を潤し、暴風雨の中、都に残してきた妻・紫の上らを案じる光源氏の姿を描く『須磨』。『明石』は、住吉の神のお導きにより明石に移り住んだ光源氏の、かの地での恋物語と都の正妻・紫の上の嫉妬、さらに都の政変による光源氏の宮廷復帰を描く。このとき明石の御方との間に授かった姫君は、後に若紫の養女となり、中宮となる。
CD3枚組(税別4,300円)/ 全221分収録